この記事の結論
- たつのの食べ歩きは龍野城下町〔令和元年12月に重伝建選定〕で「揖保乃糸」と「醤油」を同時にめぐる構造が軸です(たつの市観光協会・市公式サイト)。
- 揖保乃糸は令和6年8月27日に地理的表示(GI)保護制度に登録された手延そうめん(市公式サイト)。食べるならミシュランガイド掲載の「そうめん処 霞亭」〔水・木曜休〕、買うなら本竜野駅徒歩3分の高田商店が拠点になります。
- 醤油は「食べる」まである町です。醤油ロールケーキ〔エデンの東〕・醤油練り込み鯛焼き「たつのブラック」〔やまや本舗〕・3種の龍野醤油を使い分ける「福久鉄火」〔和ごころ 福久〕。
- 店データは観光協会の個店データベース79店の営業時間・定休日(2026年10月7日取得・協会掲載時点の情報)。変則営業の店〔たぐち=火・水・木のみ営業、エデンの東=5のつく日休み〕には注意が必要です。
たつのはどんな町か——重伝建の龍野城下町と「醤油とそうめん」の産地
たつのは、兵庫県南西部・揖保川の下流に開けた町です。市の中心・龍野地区は脇坂藩5万3千石の城下町で、令和元年12月、龍野地区の一部が国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されました(たつの市観光協会の紹介・2026年10月7日取得)。白壁の町並みが現役で店を構えるその姿は、平成8年に重伝建になった佐原の町並みと並んで、建物の中で食べ歩きができる町の代表格です。
食の産地としての柱は2本あります。1つはうすくち醤油です。市の公式紹介によると、播磨平野の小麦と大豆、赤穂の塩に加えて「鉄分の少ない揖保川の水は、うすくち醤油作りに適し、脇坂藩の保護のもと発達しました」(たつの市公式サイト・2026年10月7日取得)。龍野町大手には世界初の醤油資料館とうたわれるうすくち龍野醤油資料館、大正13年建設の旧組合事務所を再生した醤油の郷大正ロマン館(国登録有形文化財)が残ります。
もう1つが手延そうめん「揖保乃糸」です。観光協会の特集によると、播州地方でそうめんづくりが本格化したのは江戸時代・安永頃で、龍野藩の「許可業種」として奨励されました。播州地方におよそ600年前から続く手延べ製法で、こね・縒り・熟成を繰り返す11の工程を経て仕上げられ、製造は例年10月〜4月に集中します。そして令和6年8月27日、揖保乃糸は地理的表示(GI)保護制度に登録されました(市公式サイト・2026年10月7日取得)。本稿の店データは、たつの市観光協会の個店データベース79店(名称・住所・時間・定休日つき。2026年10月7日取得)から転記しています。営業時間・定休日は協会掲載時点の情報として扱ってください。
揖保乃糸と城下町の店8店——観光協会DB・営業時間・定休日つきの表
観光協会の個店データベース79店のうち、龍野城下町と揖保乃糸をめぐる食べ歩きの軸になる8店を表に整理しました(協会掲載時点・2026年10月7日取得)。福久〔新宮町〕とまるよし〔室津〕は城下町から車で移動する店です。
| 店 | ジャンル | 営業時間 | 定休日 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| そうめん処 霞亭 | 揖保乃糸 | 11:00〜16:00 | 水曜・木曜 | ミシュランガイド掲載のそうめん処・龍野城のそば・特級の「ひね」を使用 |
| そうめん&コーヒー すずむら | 揖保乃糸×喫茶 | 8:00〜17:00 | 不定休 | 城下町の喫茶・黒帯の特級に自家栽培柚子の香り〔龍野町大手〕 |
| 酒粕うどん たぐち | うどん | 11:00〜14:00 | 月・金・土・日曜〔夏季・臨時休あり〕 | 営業は火・水・木曜のみ。酒粕うどん一品の店〔龍野町上霞城〕 |
| エデンの東 | 喫茶・洋食 | 8:00〜19:00 | 5のつく日(5・15・25日) | 築100年超の町家リノベ喫茶・醤油ロールケーキ〔龍野城下町商店街〕 |
| やまや本舗 | 鯛焼き | 9:30〜19:00(7・8月は10:00〜) | 火曜 | 2020年オープン・醤油を練り込んだ「たつのブラック」 |
| 珈琲紫園 | 喫茶 | 8:00〜18:00 | 火曜 | 老舗珈琲店・自家製アーモンドバターのクロワッサン〔龍野町富永〕 |
| 和ごころ 福久 | 和会席 | ランチ11:30〜14:00 | 月曜 | 「福久鉄火」〔たたきまぐろの巻寿司〕・龍野醤油3種を使い分け〔新宮町・車移動〕 |
| 御食事処 まるよし | 海鮮 | ランチ11:30〜14:30 | 月曜(不定休) | 創業50年・室津港の魚・室津特選にぎり14貫〔室津・車移動〕 |
揖保乃糸を食べる——霞亭・すずむら・そうめんの里
揖保乃糸の食べ歩きでまず挙げられるのがそうめん処 霞亭です。観光協会の紹介は「龍野城のすぐそばにある、ミシュランガイドにも掲載された老舗のそうめん専門店」。麺は揖保乃糸のなかでもコシが強く舌触りのいい特級の「ひね」——1年間熟成させた麺——を使用し、夏は冷やし、寒い季節には甘く煮つけた綾部山の大きな梅をのせたにゅうめんで味わいます。醤油や塩糀を使った自家製アイスクリーム、紫黒米の甘酒も人気です(協会掲載時点)。営業は11:00〜16:00で、水・木曜休み。
城下町の喫茶で気軽に揖保乃糸を味わえるのがそうめん&コーヒー すずむらです。龍野町大手にあるこの店は黒帯の特級を使い、自家栽培の柚子がほんのり香る一杯を出します。寒い時期はにゅうめん、暑い時期は冷やしと、季節で楽しみ方が替わる店です(協会掲載時点)。規模の大きい拠点が揖保乃糸資料館 そうめんの里(神岡町・9:00〜17:00、月曜休〔祝日の場合は翌日〕・年末年始休)。館内の直売では黒帯の特級品が人気で、「幻の三神」が並んでいることもあると協会は紹介します。併設のレストラン庵(11:00〜21:00、LO20:00)は、鯛のかぶと煮をのせた庵名物「鯛そうめん」、穴子ときつねの「ハイカラ」、お米の代わりにそうめんを使う「そうめん巻き寿司」など揖保乃糸料理が揃い、春から夏の時期は中庭でそうめん流しも楽しめます(協会掲載時点)。神岡町は龍野城下町から車での移動になります。
揖保乃糸を買う——駅近の高田商店から製麺所直売まで
買い物の拠点は高田商店です。協会の「揖保乃糸が買えるお店」で「本竜野駅から徒歩3分!お土産にぴったりの揖保乃糸」と紹介される店で、営業は8:00〜17:00・土日曜休み。土日祝の旅では買えないため、平日か金曜までの日程に組み込みたい。ほかに協会特集が挙げる直売拠点は、横尾製麺 龍野直売所(10:00〜15:30・水・土・日・祝日休み)、赤木製麺(9:00〜19:00・日曜・年末年始休み)、もりぐちの麵や。(10:00〜15:00・火・金曜以外の営業という変則パターン・神岡町)など。麺にカレーを練り込んだカレー麺や、たつの市ゆかりの相撲の神様「野見宿祢」から名付けた宿祢中華そばといったオリジナル商品は、森口製粉製麺の直営販売所・もりぐちの麵や。で買えます。龍野観光売店「蔵あかね」(9:00〜16:00、月曜休〔祝日の場合は翌日〕・年末年始休・龍野町下川原)も、揖保乃糸・地場産品・コーヒーやアイスを扱う観光の休憩拠点です。
買い比べの前に知っておきたいのが等級の仕組みです。協会の特集によれば、「三神」は最高級品で組合が選抜指定した数軒の熟練製造者しかつくれないごく僅かな品。「特級」は厳寒期(12月〜翌年2月)につくられる贈答用の名品。全生産量の約80%を占めるのが「上級」です。そのほか国内産小麦だけの「縒つむぎ」、厚生労働省認定の製麺技能士が謹製し1年間熟成させた「熟成麺」があります。製造は例年10月〜4月で、その年に出荷されるものを「新」、専用倉庫で1年間熟成(厄現象)させたものを「ひね」と呼びます——霞亭の「特級のひね」はこの仕組みから来た言葉です。
醤油を「食べる」——龍野醤油の町の新感覚グルメ
うすくち醤油の産地・たつので注目したいのが、醤油を料理や菓子で食べる視点です。龍野城下町商店街のエデンの東(8:00〜19:00、5のつく日〔5・15・25日〕休み)は、築100年超の町家をリノベーションした喫茶店で、たつの醤油ともろみ味噌をソースに使った「赤とんぼピザ」や、生クリームに醤油をブレンドした「お醤油ロールケーキ」を協会の紹介で看板商品としています。鯛焼き店のやまや本舗(9:30〜19:00〔7・8月は10:00〜〕・火曜休)は、小倉あんやカスタードに混じってたつの醤油を練り込んだ「たつのブラック」が人気の店です。和会席の和ごころ 福久は、料理や食材に合わせて3種類の龍野醤油を使い分け、たたきまぐろに甘だれを合わせた「福久鉄火」が土産人気と協会に紹介されています。
醤油そのものに触れるなら、蔵元の直売と資料館です。末廣醤油(8:30〜17:00、土・日・祝日休み・龍野町門の外)は、蔵人十数名が醸造を続ける蔵元です。矢木醤油(8:30〜17:00・土曜不定休)も協会個店DBに登録されています(両社とも見学の可否・時間は要確認)。散策動線の要はうすくち龍野醤油資料館(龍野町大手)と醤油の郷大正ロマン館(龍野町上霞城・国登録有形文化財)で、観光振興課の散策コースにも組み込まれています。城下町の麺では、下村酒造の酒粕に龍野醤油や味噌、ショウガ、蜂蜜をブレンドしたスープが看板の酒粕うどん たぐち(11:00〜14:00)が実力店です。麺を食べたあと、残ったスープにごはんと梅干しを混ぜて雑炊風にする食べ方まで決まっている一品で、営業は火・水・木曜のみ——土日祝は休みなので日程調整が必須です。
モデルプラン:城下町・揖保乃糸・醤油の日帰り動線
たつの市観光振興課おすすめの「徒歩で龍野城下町散策」=徒歩3時間コース(09:00 JR本竜野駅→09:20 うすくち龍野醤油資料館→09:55 如来寺→10:05 醤油の郷大正ロマン館→10:25 龍野城→10:45 旧脇坂屋敷→10:55 聚遠亭→11:30 蔵あかね→12:00 本竜野駅)を土台に、協会DBの営業時間データで昼食と午後を延長したのがこちらです。
- 9:30JR本竜野駅: レンタサイクル併設のたつの市の代表駅。ここから徒歩で城下町へ。
- 9:45うすくち龍野醤油資料館: 醤油のふるさと龍野の資料を展示する世界初の醤油資料館〔開館時間は要確認〕。
- 10:20醤油の郷大正ロマン館: 大正13年建設の旧組合事務所と旧醸造工場〔国登録有形文化財〕。
- 10:45龍野城・聚遠亭: 約500年前に赤松村秀が築いた山城と、城下町越しに瀬戸内海・淡路島を望む庭園。
- 11:30ランチ: そうめん処 霞亭〔龍野町上霞城4・11:00〜16:00・水木休〕: 揖保乃糸特級の「ひね」の冷やしor梅のせにゅうめん。水木曜はすずむら〔8:00〜17:00・不定休〕へ。
- 12:45城下町商店街のスイーツ: エデンの東〔5のつく日休み〕で醤油ロールケーキ→やまや本舗〔火曜休〕でたつのブラック。
- 13:45揖保乃糸資料館 そうめんの里〔神岡町・9:00〜17:00・月休〔祝日時は翌日〕・車で移動〕: レストラン庵〔11:00〜21:00〕の鯛そうめんと直売〔春〜夏は中庭でそうめん流し〕。
- 15:30帰路: 本竜野駅へ。高田商店〔駅徒歩3分・8:00〜17:00・土日曜休〕で揖保乃糸のお土産を。土日は蔵あかねに差し替え。
この動線の要点は、協会の徒歩コースを午前で消化し、揖保乃糸の昼食を龍野城のそばの霞亭で取り、午後に醤油スイーツとそうめんの里を足したことです。たぐち〔火水木のみ〕を狙うなら、振興課コースを10:00開始に前倒しして、11:30のランチをたぐちに差し替えてください。そうめんの里は車移動のため、徒歩のみの旅では高田商店と蔵あかねでお土産を済ませる構成に差し替えが現実的です。
訪問前の確認リスト
- 「協会掲載時点」の情報を更新する: 本稿の営業時間・定休日は観光協会の個店データベース〔2026年10月7日取得〕の転記です。変更の可能性は各店に確認を。
- 変則営業の店は日程で決まる: 酒粕うどん たぐち〔営業は火・水・木曜のみ〕・エデンの東〔5のつく日休み〕・もりぐちの麵や。〔火・金曜以外営業〕・末廣醤油〔土日祝休み〕・高田商店〔土日曜休み〕など、出石の皿そばめぐりと同じく「いつ行けるか」で店が決まる町です。
- うすくち龍野醤油資料館の開館時間は要確認: 本稿では協会個店DB・モデルコースに開館時間の記載を確認できていません。
- 車移動の店に注意: そうめんの里〔神岡町〕・和ごころ 福久〔新宮町〕・御食事処 まるよし〔室津〕は龍野城下町から車です。徒歩旅では差し替えを。
- 揖保乃糸の製造は例年10月〜4月〔協会特集〕: 直売所は通年営業ですが、新麺の季節を狙うなら冬〜春が実りやすい時期です。宿の日程はキャンセル料の判断を見てから押さえると安心です。
たつのは、重伝建の城下町で揖保乃糸と醤油が同時に味わえる、西日本でも珍しい食べ歩きの町です。観光協会の個店データベースが営業時間・定休日まで揃っているぶん、変則営業への対策さえ決めれば一日で「そうめん・醤油・うどん」をめぐり切れます。龍野城の石垣と揖保川の流れを眺めながら、特級のひねと醤油スイーツを一日で味わってください。
まとめ
- たつのは龍野城下町〔重伝建・令和元年12月選定〕で揖保乃糸とうすくち醤油をめぐる町。
- 揖保乃糸はGI登録〔令和6年8月27日〕の手延そうめん。霞亭〔ミシュラン掲載・特級ひね〕・すずむら〔特級×柚子〕・そうめんの里〔庵の鯛そうめん・流しそうめんは春〜夏〕で食べられる。
- 買うなら高田商店〔本竜野駅徒歩3分〕・横尾製麺・赤木製麺。等級は三神/特級/上級〔約80%〕/熟成麺。
- 醤油は食べられる: エデンの東の醤油ロールケーキ・やまや本舗のたつのブラック・福久の龍野醤油3種使い分け。
- 変則営業に注意: たぐち〔火水木のみ〕・エデンの東〔5のつく日休〕。車移動はそうめんの里〔神岡町〕など。